プロ5年目の安森一貴(やすもり・かずき)が「63」を記録した。
インスタートの11番からまず「持ち味のアイアンショットで獲った」と、3連続バーディで弾みをつけると、16番では奥のカラーから15メートルのフックラインが、カップの向こう側で弧を描いてカップイン。
「きょうはなんか流れが来ている・・・」と前半31に、予感めいて折り返すと、後半の5番からバーディ、イーグル、バーディ、バーディの「32」。
「僕自身の自己ベスト。明日も続けられればな・・・」と、2位に4差もつける自身初の単独首位獲りに、端正な相好も自然と崩れた。
大阪の堺市出身。
祖父のススメで6歳からゴルフを始めた。
大阪商業大学付属高校時代は名の知れた存在で、「王子」の異名を取ったほど。
「いえいえそんな・・・全然ですよ」と、謙遜するが、当時は今より20キロもスリムな体重55キロ。
関西風に言うシュっとした容姿が人気で、当時を知るゴルフ部出身の記者さんの証言では、試合のスタートホールに見学の女子が溢れたそうだ。
全国大会を制しながら勉強にも手を抜かず、大学は「就職に有利。できればメディア関係に」という志望理由から、関西では「関関同立」の私学四天王のひとつとして名高い関西学院大学の社会学部に推薦で入学。
文武両立もしっかりこなした。
プロを目指す動機は4年時に、この「ミズノオープン」のアマチュア予選会で4アンダーを出して優勝し、ツアー初出場を果たしたこと。
ちなみに同予選会で、カウントバックの2位に破れたのはあの蟬川だった。
「学生時代から、思い入れがある」という今大会の上位4人には、「全英オープン」の出場権も与えられ、「イギリス・・・行きたいですね」。
王子の夢も、おのずと膨らむ。