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左利きのピークがハリウッド級の逆転劇(NZオープン)

共催のアジアンツアーは、その優勝劇を「ハリウッド映画のよう」と表現した。

比嘉らを1差で抑えて「ニュージーランドオープン Presented by Sky Sport」を制した豪のライアン・ピークの経歴は、単に“レフティの31歳”とだけで済ませるものではなかった。


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運命の好転を願って入れたという両腕のタトゥーが紆余曲折を物語る。


「全英オープン」覇者のキャメロン・スミスらと豪州代表をつとめるなど、19歳のプロ転向時は有望選手で知られたピークの人生が一転したのは、21歳のときという。

日本でいう暴走族の一味になったピークは、暴行罪で逮捕。
いちからやり直すと決意したのは5年の刑で服役中で、連絡をくれたコーチのリッチー・スミス氏の支えでプロゴルファーとして再起を誓い、母国ツアーで再研鑽を積んできた。

「人生が変わった」と、V会見でピークは言った。
「自分はできると信じていたし、それは時間の問題だった」と言ったとおりに、その瞬間はやってきた。




この週、ボギーを叩いたのは初日の8番と、15番だけ。
4打差の2位から出た最終日も5バーディボギーなしの「66」で逆転し、1差で迎えた最後18番も、右の池のすぐ横のラフから約3メートルを残したパーパットを決め切った。

犯罪歴のために、入国ビザの申請に手間取り、ピークが隣国のニュージーランドに入って来られたのは開幕ぎりぎりの火曜日だったという。

その5日後に優勝。
ピークは言った。
「コーチと今年の目標をいくつか設定し、チームも、家族も僕ができると信じてくれた。そして何より自分が自分を信じていたんだ」。

それでも、勝者の資格でみごと手にした7月の「全英オープン」切符はさすがに嬉しい大誤算、だったかも…。


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