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前澤杯 MAEZAWA CUP 2025

池田勇太がキャディのラジさんと最後の1日

笑って終われなかった。

丸7年連れ添ったキャディのラジさんこと、プラサド・ラジ―フさんと最後の18ホール。

池田勇太(いけだ・ゆうた)は、スタートの10番ティから「なんか…、もうダメでした」と、声を震わせた。
「いつもと同じ気持ち、と思ったけれど。最後だな、って。ティショットから思いましたし、1ホール1ホール、終わるにつれて、終わらせたくない、っていう…」。

1日、涙が止まらなかった。



高齢のご両親のために、出身のフィジーに帰ることを決断したラジ―フさん。
最後まで迷っていたラジ―フさんの背を押したのは、池田自身だ。

今年お互い40歳。
「彼にも第二の人生があるし、家族があるし、もう若くないから。今度は俺が彼の応援をしてやりたいんだ」。
頭ではわかっても、心は離れがたい。

2017年の最終戦から組んだ。
19年のミズノオープンで、通算21勝目を分かち合った。
「でも、コロナみたいなわけのわかんないのもありましたし…」。
22年には、顎関節に起因する体の痛みを発症してシード落ちを喫した。

「俺が勇太を復活させる」と、どん底でこそ寄り添ってくれたラジ―フさん。
「どんな時も俺のために全力を尽くしてくれて。俺の手となり足となり。相思相愛。女房のような存在です」。

ラストゲームは、裏街道の10番ティから出て60位に終わった。

「最後だから。いいゴルフをしたかった。別れるまで厳しい現実を突きつけられて、それを見ているのもつらかったと思う」と、最後まで無二の相棒を思いやった。


ラジさんと、ラジさんのご家族との記念撮影でもちっとも笑えてません…😢


「彼との関係はこれで終わりじゃない。一人でつらいところもあるけど。彼に喜んでもらえるようなゴルフができるように。来週から頑張る」。

ラジ―フさんも泣いていた。
「本当に、勇太と復活がしたかったんだ」と、嗚咽した。
「また何年後かに帰ってくる。また勇太が勝てると信じてる」と涙を拭いた。
ゆびきり代わりにぎゅっと抱き締め合った。


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