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前澤杯 MAEZAWA CUP 2025

記念の第1日にそろって新記録を樹立。菅沼さんと寺西の可憐なる1日

新規大会の記念すべき第1日を、2人の女子選手が盛り上げた。

菅沼菜々さんと、寺西飛香留(てらにし・ひかる)が共に初日を「イーブンパー(70)」でプレー。
2005年「カシオワールドオープン」の第1ラウンドで、米のミシェル・ウィー選手が記録した女子選手の最少スコア「1オーバー(73)」を更新した。
2人そろって歴史を塗り替え、開幕初日にを大いに沸かせた。

LPGAツアー2勝で、男子ツアー初挑戦の菅沼さんはこの日、片山晋呉と石川遼とティオフ。



    「毎回、60ヤードくらい後ろから。4、5番手は違う」と、飛距離で置いて行かれるのは仕方ない。

    でも、前半9ホールでボギーを叩いたのはいずれも距離の長いパー4の1番(505ヤード)と、8番(491ヤード)の2つだけ。
    その8番も、左から狙った約5メートルのパーパットは本当にあとひと転がりだった。

    正確なティショットで、大きなトラブルもなく、長いクラブで着実にグリーンに乗せ、2番や4番ではバーディチャンスも作った。
    6番では右手前のカラーからそつなくOKパー。
    7番では、左カラーから長いバーディパットがラインに乗ったが惜しくも通過し、同伴の片山から「ナイストライ!」と、景気の良いかけ声も飛び出した。



      「1番と8番は届かないのでしょうがない。そこだけボギーは上出来かな」と菅沼さん。

      前半2オーバーで折り返すと、後半インはボギーなしの2バーディ。
      ティショットを3Uで打った13番パー3で、6メートルに乗せて初バーディを奪った。
      最後18番では165ヤードの2打目を70センチにくっつけひときわ大きな喝さいをさらった。

      後半ホールをついて歩いた大会発起人の前澤友作さんも喜ばせた好プレー。
      同組の石川も「彼女のおかげで、来てくれたファンもいると思う。プレーにも脱帽」と、称えた。



        本大会で、菅沼さんが一貫して掲げているのが「とにかく他の選手に迷惑をかけないこと」だ。

        けなげな目標が、奏功した。
        2人の同伴レジェンドを気遣い「構えたらすぐ打つ」の繰り返しが良いリズムを生んだ。

        いつもお父さんから受けていた「構えてから長いから、体が固まる」との指摘を身をもって痛感。
        「これくらい速くていいのかも」と、さっそくコツをつかんだ。

        「テレビで見て来たお2方。めちゃくちゃ緊張しました」と、モジモジしながら、レジェンド2人のプレーを「ガン見」。
        どんな場面でも頑として貫く片山のルーティンや、石川のたくみな小技を盗み見、「めちゃくちゃありすぎます!」と、女子ツアーでのシード復活に向けて、学びと収穫をかき集めて歩いている。

        一方、女子選手として初のJGTO選手として戦う寺西はパワフルに、イーブンパーの新記録をマークした。


        前半12番でボギーを先行させたが、1メートルを沈めた14番に続いて、16番のパー3では15メートルをねじ込み1アンダーで後半に入ってきた。
        505ヤードと距離の長い1番パー4では、210ヤードの2打目を惜しくもバンカーに入れたが、「2オンも狙える距離でした」と、難なくパーセーブを決めた。
        8番のパー4も491ヤードと長いが、ボギーを喫したのは、むしろティショットが計算より飛びすぎ、計算外のバンカーにつかまったことによるものだった。

        レギュラー初挑戦した2週前の開幕戦「東建ホームメイトカップ」は緊張で「何がなんだかわからず。パーオンも少なかった」と、分析。「きょうは13回できた」と、反省を生かして着実に成長を見せた。

        月1回の写経を習慣にしている24歳は、第1、2打ともあやわ池のショットが打てる場所に残っていた最後9番で、思わず手を合わせてパーセーブ。「助かった~と思って。ほんとありがとうございます。神様に感謝していました」と、笑顔で上った。



          女子としての最少スコアは更新したが、初日の順位は74位タイだった。
          本大会は予選カットがないが、賞金加算は60位タイまでと決まっており、「賞金ランキングに初めて名前を載せる」と目標を掲げる寺西の本当の挑戦はこれから。

          「アンダーパーを出すことも目標。きょうは1打届かなかったので、明日はめざしたいと思います」(寺西)。

          また、菅沼さんは「明日もお2人にご迷惑をかけないように頑張ります」と、改めて同組の片山と石川に誓うと共に、「オーバーパーは、打ちたくないかな」。
          2日目も2人の女子から目が離せない。

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